もくじ
第3位「憧れは理解から最も遠い感情だよ」
自分の部下を陥れ、利用する外道:藍染惣右介。
なにかの信者をみつけたら優しくこう伝えてあげましょう。「憧れは理解から最も遠い感情だよ」と。
恐らく火に油で、相手を煽ることになると思います。けど、盲目的な信仰はただの思考停止なので、止めてあげるのはある意味優しさだと思います。言いましょう「憧れは(以下略)」
自分自身「なにかになりたい」「あの人になりたい」などの思いを背負っても、あまり意味がないと思ってるたちなので、印象的なセリフでした。
自分探しの旅とかよく聞くけど、自分はそこにいるし、他の誰にもなれない。どうか芯をぶらさずに。
- 思考停止してカルトにハマってる人を見た時
信者を煽るくらいです。藍染が言うから価値がある気がします。あとは心に秘めとけば十分。
第2位「あまり強い言葉を使うなよ 弱く見えるぞ」
藍染惣右介、渾身のひとセリフ。
雛森をやられ、激情する日番谷冬獅郎(弱小)が「愛染、おれはテメーをこ◯す」に対しての返答。
「絶対」や「必ず」などを頻繁に使うひとをみるといつも頭に浮かんでしまう言葉。よほどのことがないと絶対なんて言えないなぁと身にしみる愛染のセリフ。愛染のセリフはどれも哲学的。
「絶対なんて絶対ないってそれはもう絶対です」とはよく言ったもの。完全とか究極とか、言ってしまったらそれ以上ない。強すぎる言葉は、可能性を潰してしまう危険性も孕んでいる。
ちなみにこの後、たった1ページで日番谷はやられます。哀れにも無残にも。
- 次は必ず納期に間に合わせますと言われた時
- 絶対また遊ぼうねと言われた時
- 行けたら行くと言われた時
- 「おまえまじこ◯す」と言われた時
などなど
強い意思のある行動や、言葉には強い言葉はいらんのです。なんの変哲もない言葉のほうが信用は得られる気がします。
繰り返し言いますが、愛染のセリフ非常に哲学的で曖昧故に汎用性が高い。
第1位 「私は完璧を嫌悪する」
栄えある堂々の1位は、涅マユリの「完璧」のくだり。
アランカル編、ザエルアポロ・グランツ戦でのセリフ。
”完璧な生命”か 世界には完璧などというもの存在しないのだヨ
陳腐な言い回しになるがネ それは事実だ
なればこそ凡人共は”完璧”に憧れ、それを求める
だがネ ”完璧”に何の意味がある?
何も無い 何も 何一つだ私は”完璧”を嫌悪する
完璧であれば、それ以上は無い
そこに”創造”の余地は無く それは知恵も才能も立ち入る隙がないという事だ解るかネ?
我々科学者にとって ”完璧”とは”絶望”だヨ
今迄存在したなにものよりも素晴しくあれ だが けして完璧である莫れ
科学者とは常にその二律背反に苦しみ続け 更にそこに快楽を見出す生物でなくてはならないつまり ”完璧”などという頓狂な言葉を口にした瞬間に 既に君は私に敗北していたのだヨ
君を”科学者だとするなら”の話だがネ
「マッドサイエンティストvsマッドサイエンティスト」という構図も非常に熱い。ま、ザエルアポロを科学者とするならの話だがネ。
冒頭で、「1話1話密度が薄く数秒で読める」と言いましたが、マユリ回は基本的に別物です。完全にカルピス原液。濃ゆい。連載当時、なんども読み返したのは未だ記憶に新しい。
もともとマユリ大好きだったのが、ここで爆発した。あのシーンで痺れない人いますか?マユリ好き以外も発狂もんのシーンだと思うのですがどうでしたか?
- テストで100点をとれなかったとき
- しゅうとめに難癖をつけられたとき
- やたら完璧を連呼する人をみたとき
- 向上心をアピールしたいとき
などなど
学校のテストで100点がとれなかったときとか、上司に注意されたりしたときに使えます。100点をとっても、探究心を怠らないという意思を表す言葉としても使える。本当に一番好きな名シーンであり、名台詞。
このセリフと出会ってからは、不用意に完璧という言葉を口にすることが減った。というより、もはや使わなくなった気がする。(影響されすぎ)。まさしく「あまり強い言葉を使うなよ」である。
軽々しく「完璧」と言ってしまうと、言葉の価値が薄れるとよく思う。
マユリというキャラの素晴らしさは、そのリサーチ力。毎回斬魄刀の毒の配合を変えたり、魂魄の研究を欠かさなかったり、敵陣に乗り込む際は敵の能力を把握してからだったり、したごしらえが万端。(唯一「ベルニカ」だけは未知の生命体すぎてマユリも手こずった。)
外道キャラとしても、真面目キャラとしても素晴らしい。
名(迷)セリフ番外編
「久しぶりにやってみるか ”剣道”ってのをよ」
ノイトラ戦での更木剣八衝撃のひとこと。
剣道を侮辱する意思は一切ありませんが、剣八から出た”剣道”という言葉には笑ってしまった。
アルファベットもわからない子が「受けてみるか、TOEICってやつをよ」と言ってるのを見守る気分になって、笑いが止まりませんでした。
しかも続きがこれですよ。
「知ってるか?剣ってのはよ 片手で振るより両手で振ったほうが強えんだとよ」
えるしってるか けんどうは りょうてのほうがつよい
戦闘初心者が言うなら分かるんですけど、霊圧がバカ高く、戦闘力の高い剣八が言うんですよ。急に当たり前なことを。
ワンピースならルフィが急に「しってるか?おれは伸びるんだ」と、アイシールドのセナが「歩くより、走るほうが早い!」遊戯王なら「ドローってのはデッキの一番上のカードを引くことなんだぜ」と言うみたいなもの。
「両手のほうが強い」のは、至極全うで正しいんですけど、スラム育ちで誰よりも血を見てきた剣八が言ってるのが、どうも面白いんですよ。シリアスなギャグなのかなと本気で疑った。
結局、圧倒的な霊圧と力でノイトラ(防御力のすんごい高い敵)に勝つ剣八の姿は、申し訳ないのですが笑いました。「なんだこの剣道のくだりと、この結局のゴリ押しは…」と。
「基礎はすげぇんだぞ」と教えてくれた剣八先生の最初で最後の授業でした。
「なん・・・だと・・?」
抜粋するのすら面倒なほど使われてる「なん・・だと・・?」
「うそ・・・だろ・・・?」の「◯◯・・・だろ・・?」構文。
「この人ブリーチ好きかな?」と疑問をもったときに、なんかしらの拍子の度に「なん・・・だと・・・?」と言って反応があれば、その人がブリーチファンかどうかが分かります。
むすびに
「愛染とマユリが名言を生み出しすぎじゃないかな?」というのが総括。やつらは名言を産みすぎ。生態系を乱す言葉使い。
作者:久保帯人自身もマユリのコスプレをするくらい気に入ってます。久保帯人氏の言いたいことは、ほとんど彼らが代弁していたんじゃないかと個人的に思ってます。それくらい情の強さを感じるキャラクター達でした。
愛染は哲学的で、マユリは論理的。マユリもネムに対して、実は情が深かったりと、論理だけなキャラじゃないのが最高に好き。
どうもお久しぶりです pic.twitter.com/KHGcbbcyqo
— 久保帯人 (@tite_official) 2016年11月2日
冒頭でもいいましたが、本当に久保帯人(TITE KUBO)のセンスは卓越してる。あんだけポエムが多いと読者を置き去りにしそうなのに、むしろ連れてかれますからね。久保帯人ワールドに。もうついていけないんですよ、ポエムのない世界のスピードに。
特に絵の描き分けはトップクラス。意図的にかぶせてる(志波海燕と黒崎一護、残月とユーハバッハなど)を除いてしっかりそれぞれに個性がある。
あの口に出したくなるネーミングセンス。冗談抜きでここ数年のジャンプで一番センスの高いマンガだったのではないかな、と思います。
実写映画、意外と評判がいいので見てみようかと思います。
ではまた。
<文・編集 = hitoto(@tonariniwa)