ハッキリ言ってあの時のルフィはただのクレイジーだった。
ルフィは海賊で主人公だけど世間的には悪役。
ワンピースを読んでいる人たちでもたまにこう勘違いしがちなのが
「ルフィは海賊だけど良いやつ」
たしかにそれはわかる。海賊だけど民衆を脅かすような特に悪いことは特にしていなかったから。
そうインペルダウン編までは。
それまで略奪など申し訳程度の海賊っぽいことをしつつもなんやかんやと良いやつだったルフィ。インペルダウンでの所業は彼が極悪人へと成り下がった瞬間でした。
インペルダウンでの開放祭りは、完全に海賊としての悪の部分が露呈した瞬間だった。
事はインペルダウンにて起こる
事の発端
物語中盤、ルフィの兄であるエースがバロナ島で黒ひげとの勝負に負けてしまい、インペルダウンに収容される。
一方その頃、クマの能力によって女ヶ島アマゾン・リリーに飛ばされていたルフィ。兄エースを助けるため大監獄:インペルダウンに乗り込む。
ここまでは良い。非常に熱い展開でドキがムネムネ。
問題のシーン
問題はルフィがハンニャバルと対峙するシーン。
何を…貴様らシャバで悪名揚げただけの………“海賊”に“謀反人”………!!!
何が兄貴を助けるだ!!社会のゴミが綺麗事ぬかすな!!!貴様らが海へ出て存在するだけで…!!!庶民は愛する者を失う恐怖で夜も眠れない!!!
か弱き人々に
ご安心頂く為に
凶悪な犯罪者達を
閉じ込めておく
ここは地獄の大砦!!
それが破れちゃ この世は恐怖のドン底じゃろうがィ!!!出さんと言ったら一歩も出さん!!
なんて正論…!!
所長への願望を語ってる時は威厳もくそもないけど、今は輝いてるぞハンニャバル。
いつも鋭い発言で本質を見抜きまくっていたルフィは一体なんて返すんだ…!(ワクワク)
ルフィ:おれはエースの命が大事だ!!!
だからどけ!!
嘘だろ?
議論のぎの字もない。論理のりの字もない。
このときのルフィは完全に頭が溶けてる。「エースを救いたい一心」だけしかなく、完全に正常な判断力を失ってしまってる。
「反乱してるやつらを止めたらよ、クロコダイルは止まるのか?」と最終的な結果が見えていたルフィはもういない。錯乱してます。帰ってきて鋭いルフィ!
「おれはエースの命が大事だ!!」は、ある意味本能で本質的な発言かもしれないけど、やっぱりこの議論(?)に関してはハンニャバルの圧勝ではないか。
あの正論の存在意義は価値観を揺らしたかったのか
正直、インペルダウン入った瞬間から悪いことしっぱなしなんだけど、そのときはMr3やバギー、ボン・クレーの再登場による高揚感のほうが勝っていて感覚が麻痺してた。
実際インペルダウン入ってからの展開は「このくらいは罪じゃないか」とつい思ってしまえるほどテンポがよくて面白い。
でもこのハンニャバルへのど正論に対して、ほっとんどまともな返しをしなかったことで読者の熱も若干冷めてしまったように思える。
ワンピースって価値観を揺さぶるセリフがたくさんあるんですね。
多様性を認めるメッセージ性をもった作品でもあるので、「正義はなにか」をハンニャバルの正論で問いたかったのかもしれない。
あのセリフのおかげ(せいで)、ルフィのしていることが凶悪であることがより強調された。
たった一人を救うために世界政府に喧嘩売ったりするルフィを鑑みると、いつも通りっちゃぁいつも通りでルフィは曲がってない。
それは別に悪いことじゃないけど、一般ピーポー的な視点でみるとどう考えてもハンニャバルが強すぎて、どこに共感を置きたいのかわかりにくいシーンでもあった。
受け取り用によっては、「こんなことしちゃいけないよ」と読者に訴えてるのかなとも思えるシーンで、一概になかったらよかったのにとは言えない。
でも、ここで冷静さを取り戻した読者はルフィの狂った返答のほうが目にあまるわけです。
しかもバギーがしているビジネスって完全にインペルダウンでのコネありきですからね。やっぱ駄目だわ。
ハンコックもまぁまぁ悪【とばっちり】
よくよく考えるとハンコックもほとんど罪のない海軍をことごとく石にしたり、好き放題。ギャグとして処理されてるのでインパクトに欠けるけど、猫を蹴ったり仲間を平気で石にしたりとハンコックもまぁまぁクズ。
そうよ妾が美しいから!!どん!!じゃねえよと。
美人ってそれだけで凶器だわと思った瞬間。2つの意味でアイツは凶器ですよ。恋はいつでもハリケーン!!のシーンは屈指のお笑いシーンで最高なんだけども。
むすびに
なにも罪のない市民からすれば支持されるのはハンニャバルでしょう。だってあの時のルフィはどう考えてもゴミです。
ハンニャバルがあの時熱弁したことはそれほど正論で、弱きものを守ってくれる理論を唱えてるのです。
ルフィの「まっすぐさ」がもっとも悪い意味で機能した最悪の瞬間だったでしょう。
そりゃ「最悪の世代」って呼ばれますよ。
ルフィがした巨悪犯罪は意外と多くあるのでまたその記事でもお会いしましょう。それではまた。
このルフィとハンニャバルとのやりとり、あなたの目にはどう映ったでしょうか。
ちなみに今回の記事の内容はこの巻です。
<執筆・編集 = hitoto(@tonariniwa)