音楽

ポルカドットスティングレイMVの雫嬢から学ぶ「焦らし」のテクニック

 ポルカドットスティングレイ。本人ら曰く、「福岡県福岡市を拠点に何かを企む超常ハイカラギターロックバンド」とのこと。

 ギターボーカル雫(以下雫嬢)は、彼らを紹介する際にどうしてもスポットが当たってしまう人物。彼女なしに語るのは無理な気がする。

 今回は、ポルカドットスティングレイの、もとい雫嬢のMVにおける「焦らしテクニック」に着目。

今回の例にあげるMV

 ずばりこちら「エレクトリック・パブリック」

引用出典:ポルカドットスティングレイ『エレキトリックパブリックMV』より©ポルカドットスティングレイ

 サムネに釣られ、聴くと相変わらずノリがいいイントロ。楽器隊が輝いてる。サムネイルで釣られ、イントロで釣られる豪華二本立て。



MVのほうは見たでしょうか。見てもらえればわかると思いますが、雫嬢、ほんとに正面を向いてくれない。

Step1。OL雫嬢。横を向いている。

Step2。大正義ヒーロー(ヒロイン)の雫嬢。横を向いてる。

Step3。OLでギターボーカル雫嬢。斜めを向いてる。

そうこうしながら、横顔(&斜めアングル)の美しさに惹かれ、見続ける。

「正面はまだか、正面はまだか?」とそそられる。いわゆる生殺しを受けるわけである。何にそそられているのかはわからない。そそるという言葉が彼らに適切かどうかさえ不明。

 人間、中途半端に情報を開示されると、全貌が気になる。特にイケメンや美女などなおさら。日本人特有かもしれないけど、こと顔になると、めちゃくちゃ厳しい気がする。怖い。

引用出典:ポルカドットスティングレイ『エレキトリックパブリックMV』より©ポルカドットスティングレイ

お、これは誰だ!?最後に明かされるんだろうなぁ。とりあえずわかることは、横を向いている。まーた、横を向いてる。

曲の溶け込みと「焦らし」で最後まで見たため、曲が頭に入ってない。もう一度見る。

 イントロから改めて、再び楽器隊の素晴らしさを確認し、満足する。何度も聴かせる工夫があるMV。いつしか曲も気に入っている。コミカルなPVにわりとシリアスな歌声が乗っているので、いいギャップがある。

見せてくれない正面

 雫氏は基本的に横を向いている。「横を向いている」「流し目でこちらを見ている」の二刀流であることが殆ど。こっちを数秒以上でも向いたら、家族に危害を加えると脅されているに違いない。そう考えると納得出来るし、はやく開放してやってほしいとも思う。

「テレキャスターストライプ」「夜明けのオレンジ」など、比較的正面が見える初期のMVは、今ではもはや懐かしみさえある。この頃はまだ人質がいなかったのだろう。

なぜエレクトリック・パブリック

 数あるポルカ横顔MVのなかで、なぜこのMVにしたか。それはマスクがあることで、焦らし成分をより引き立てているからである。「ヒーローの素顔を見てみたい」という少年心と、「人類皆大好き美女を見たい」という下心をどちらも鷲掴みにし、こねくりまわしてくる。

焦らされ、焦らされ、そして焦らされ、最後まで見せる。雫嬢に軍配が上がる。

人間関係に使える「焦らし」

 この焦らし、人間関係にも結構使える。

 例えば「初対面は大丈夫なんだけど、2回目が辛い」という状況に陥ったことはありませんか。初対面で特定の話題で話しすぎてしまい、次のネタがなくなる現象。

 そういった人のために、この「焦らし」が使える。

初対面から次に繋ぐために

 最初に一つのテーマで話しすぎないこと。その話題で出せるカードを全て切らない。雫嬢がこちらを向きそうで中々向かないのと同じように。

 色んな事を小出しにしてみてください。一つにしぼって、弾を打つとすぐ球切れになってしまうのは、しょうがないこと。それで話し続けられる人は専門サイト作ることをオススメします。

 チラッと自分の好きなものを出してください。もしくは自分が話したい内容をチラッと出して下さい。そして、全然語らないで下さい。初対面で語りすぎると、互いの熱量の差が相当噛み合わないと、ややこしい空気になってしまう。

 熱く語りたい気持ちをグッと堪えて、それと同時に、「相手がかなり好きなもの」も何気なく聞いといてください。

 一度目の会話で「互いが相手の好きなもの、自分の好きなものを2つ程覚えてる」くらいがちょうどいいと思います。自分が思い出せそうな範囲で、蒔けるだけ蒔いて下さい。

回収

 色んな話しておけば、それを思い出すのもまた一興だったり。「あぁそういやあれも好きだったな、これも好きだったな」と、どこかしらで互いが噛み合う瞬間があるので、色々蒔いておくと次が楽になります。

 会話の種を、一つ一つ思い出しながら回収。一回目のときに掘り下げられなかったことを話す。相手が好きな趣味や、共通点などを覚えておけばその人と仲良くなれること請け合い。互いの理解に一歩前進。

折り入った話へ

 コレを何度か繰り返し、見事ゴール(?)

 …なんだこれ。なぜか異性を対象とした風味な文章になったけど、異性に限った意図はなく、同性や友達、会社の上司にも使えます。

 好き過ぎるものは急に語ると、温度差が生まれてしまう。お互いの「好き」を徐々に話すことでどっちかが急に熱くなっても、意外と関係は長続きしたりします。

 自分が気持ちよく喋りたいなら相手にも気持ちよく喋ってもらうとよい。

 気を使わずに話せるようになるのがゴールといったところでしょうか。途中からポルカの焦らしほとんど関係なくなってる。

 それとこれ、プレゼン発表や、報告メールなどで間違っても使わないで下さい。

 グダグダと小出しにしながら相談しようものなら、上司に「はよ結論言え」「…で?」とキレられること間違いなしなので、使い所はどうか見極めてください。

 分かっているとは思いますが、仕事や相手によってはちゃんと結論から話して下さい。

むすびに

 人間は「隠されているから」こそ、そこに魅力を感じる生き物。
 
 バンドマンの多くは、大抵ロングヘアーで顔がはっきり見えない。見えないからこそかっこいい。マスクしてると大抵の人は美女になる。 全部が見えないからこそ、人は魅了されてしまう。想像で補完して楽しんでしまう。脳がそう出来てるんです。人間の脳は都合よく出来ているので。

 裸の人が街を歩いても、たいして興奮しない。そういうことです。そんな変態見た事ないので、それは嘘かもしれない。もし見つけたら、どうせ目を奪われるんでしょうけど。

 あんまり小出しにしすぎても、会話が成り立たないので、その辺のバランス調整は「慣れ」ということで悪しからず。

 興味を最後まで持たせることが大事で、難しい。正直こんなこと考えながら話すのは大変なので、たまに考えるくらいがちょうどいいです。ポルカドットテクニック。

 そういった心理をしっかりついたアプローチをしているバンド「ポルカドットスティングレイ」でした。彼らのアプローチからは、まだまだ学ぶことがありそう。

それではまた。

<執筆・編集 = hitoto(@tonariniwa

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