静岡県にすごい人がいる。その名も『諭吉佳作/men』
15歳(現時点:18年/9月)のシンガーソングライター。
彼女は、諭吉佳作であり、傑作。傑作men。(言いたいだけ)
自分より数倍段、音楽に詳しい方が人がツイートしていて、彼女の音楽に出会いました。彼女の魅力や、思った事などをつらつら書かせてください。
もくじ
『諭吉佳作/men』のこと
とりあえず、まず聴いてほしい
水槽のガラスだけだよ
全てのメロディが記憶に残る『水槽のガラスだけだよ』
打ち込みの音源や、ミックスなど拙い部分はもちろんあるものの、音楽としてとにかく素晴らしい。ヘビロテしてます。
王道なパート展開がなく、いわゆる「全編サビ」といってもいい曲。あらゆるメロディ、伴奏が耳に残る。
平静を装うけれど完成はしないよ でも
感傷に触れる為の道具になるだけの有り様だ『水槽のガラスだけだよ』
メロディの展開、ベースの展開も一捻りあって、「そっちに音いくのね」と思わせてくる。進行を予想しながら聴いていても、たぶん裏切られる。あえてひねくれた”はずした”予想をしてみる。それでも裏切られる。諭吉佳作、気さくに奇策。
何度も裏切ってくるその進行が、とにかく面白い。ひねくれた予想すら簡単にひねられた。抜け出せない迷路。
打ち込みで、一人で作ってるからか、自由度が高い。
初めて聴いたとき、気持ちよすぎて、あるきながらニヤついてしまった。「諭吉佳作(/men)っておもしろ!」とリュークのような表情をしていたわけです。ど早朝に。歩きながら。さぞかし気持ちの悪い棒っきれが歩いてたのだろうと思う。
音楽を彩る「生活音」
『水槽のガラスだけだよ』のループして鳴るコインの音、『告知』でボコボコ鳴ってる水の音。『非常口』のバタバタした音(走る音?扉を開く音?)、カセットテープのような音、シャワーのような音、炭酸水を思わせるシュワシュワした音、トトロのこだまみたいなカラカラした音、『純生活』の最後の音、など、生活音が音楽をぐっと面白くしてる。
15歳という未来のホープ
聴き惚れ、調べると、なんと15歳じゃありませんか。
『未確認フェス』(前身:『閃光ライオット』)にて、耳の早い音楽ファンが話題にし、伝聞からの伝聞で、それが自分のタイムラインにも届いた。話題にしてくれた人、そしてフェスに出てくれて感謝。ありがとうございます。
未確認フェスティバル2018 ファイナルステージ で歌ってきました。
とても広かったです。一人で何をどうしたら、と恐ろしく思っていましたが、いざ舞台に立つと恐怖が振り切れてスタスタ足が動きました。正直、楽しかったことしか覚えていません。
審査員特別賞を頂きました、ありがとうございます。 pic.twitter.com/NPWj7IgKDr— 諭吉佳作/men (@kasaku_men) 2018年8月26日
RealSoundさんの『未確認フェス』のレポート(別サイトに飛びます)
音楽プロデューサーの「蔦谷好位置」氏や、『サカナクション』のフロントマン山口氏も、諭吉佳作/menを評価している様子。評価されるべくしてされてる。
彼らも「拙いながら、才能を感じる」といったコメントを残している。わおわお。
グノシーニュース(別サイトに飛びます)
浅い青を吹き消した
不安定に立つ14本を
世界が終わる様なシーンに重ねて 笑えないよな
コーラを部屋で振った
赤い泡を頭から被った
全てがどうでも良いような
そうとも思えないような『5115』
なにかする上で年は関係がないが、さすがに15歳には驚嘆
音楽に限らず、なにかをする上で年齢は特に関係がないと思ってる質だけど、さすがに15歳には、驚いてしまった。
Twitterで「これで10代らしいです!」と教えてもらった時、てっきり18,19あたりを想像していたので、少し狼狽した。
「ほうほう15… うぇっ?15?」
15歳でこの音楽を自分で作れるのかと。一体どんな音楽を聴いてきたのか、それとも彼女の中に潜在的にもともとあったのか。陳腐な言葉だけど、すごい才能だ、と思った。よくぞあんなに色とりどりの音楽を形にしたなぁと関心してしまった。すごい。
25歳が作ったって言われても驚くのに、15歳。驚かないわけがない。びっくり驚嘆。
大人びた”声”
ボーカルから始まる『別室で繭を割った』
15歳と知って驚いた要因の一つがこの声。「なにかをするうえで(音楽)に年齢は関係ない」と書いたけど、明確に、どうしても抗えないことがある。それは声変わり。
あまり知られていない気がするけど、女性にも声変わりがある。男性と違って、思春期に必ず訪れるわけではなく、女性の場合、段々と低くなる。何年もかけて、人生単位で段々と声が低くなる。
諭吉佳作/menの声は低音域がとても良い。メロディに幅がある要因に、この低音あり。彼女の低音のメロが、個人的にぐっとくるのです。急に電源が落ちたみたいに、音がずうんと下がるのが気持ち良い。
なおかつ、諭吉佳作/menの声は、既に実に艶やか。俗な言葉で言うなら、色っぽい。「こんな歌い方できる同級生、中高生の時にいたっけな」と振り返ってしまうような声。
つまるところ、低音も高音もいい。平たくまとめてしまうと、歌声が良いのだ。良い意味で年齢を感じさせない音楽性とその歌声が、余計に15歳という現実を受け入れ難くさせた。
典型的なシンガーソングライターとは一線を画してる。これからがとにかく楽しみ。
文章が上手い
彼女、Twitterしかり、ブログしかりで文章を書いている。それがとても上手く、文章が綺麗。若さのあどけなさもしっかりあり、冗談を交えて書く文章は、読んでいて気持ちがよい。大人が書いてると言われても信じる。
折角新しい名前を作ってしまうのならば、普通の名前は嫌だな。でも、奇を衒い過ぎるのも良くないかな。最近は変わった名前のバンドが多いけれども、それはバンドだから出来る芸当であって。
最初からアーティスト然としたアーティストなど何処にもいない筈なのに、みんなその「然とする」前の段階で「然とした」アーティスト名を決めてしまうんだから、吃驚したものです。
きっと、然とした後に、名前まで然として見えるのでしょうね、長いなあ道のりは。
同世代の中で、抜きん出て上手いのじゃないかな。学校とかで一目置かれててもおかしくない。こんな同級生いたら、妬んでしまいますよ。自分なら悔しがる。大多数の大人や大学生よりよっぽど上手くて、なおかつ面白い。
なんだか偉そうに評してしまったけど、概ね事実だと思う。少なくとも自分の同級生にいたら、嫉妬してる。念の為二回。
ここでもまた「こんな文章書ける人、中学の同級生にいたっけなー」と過去を振り返ってしまう。いや、恐らくいなかっただろう。(反語) 知らないだけかもしれないけど。
文章に嫉妬した先輩や同級生に「おい佳作/men、ツラかせよ。てめー文章うめえな、このやろう」と体育館裏に呼び出されていたりしないか。中学は卒業文集などくらいしか、他人の文章を読める機会がない。なので、この妄想は杞憂に終わる。
私は基本いつでも文章を書き溜めている人間だから、何か書かんとすることには慣れている。(熟れた文章を書けているかどうかは別にして!)いつも常体で書く、常体の方が好き。
常体好きなのは基本いつだって変わらないが、私にとって目上の人の方が圧倒的に多い世の中で、「常体を使う私など、死ぬほど生意気だ!」みたいな気持ちがずうっとあった。今もある。しかしこの先いつ、「常体を使うべき時」なんかが、私に訪れるだろう。と思ったら、使わずにはいられなかった。
諭吉佳作/menのブログは、淡々とした日常の描写だったり、ライブの話や自分自身の話が多いのだけど、読ませる力があって、スラスラ読んでしまう。その上で、いい満足感がある文章。
好きに書いてるのに、読者を置いてけぼりにしない感覚をしっかり持っている。芯があるような、掴みどころがないような、フワフワ感とお硬い感じがちょうどよく出てる。もちろん褒め言葉です。
とにかく、”文章を書くのが好きな人の文章”だと個人的に思った。あーでもない、こーでもない、と試行錯誤しながらも、楽しそうに書いてるのが、なんとなく伝わってくる。「いつでも文章を書き溜めてる人間だから」とあるのを裏付けるように、彼女の文章からは嫌々書いてる感じが全くしない。それが気持ちの良い読み味になってるのだと思う。的外れだったらごめんなさい。
常体好きなのは基本いつだって変わらないが、私にとって目上の人の方が圧倒的に多い世の中で、「常体を使う私など、死ぬほど生意気だ!」みたいな気持ちがずうっとあった。今もある。しかしこの先いつ、「常体を使うべき時」なんかが、私に訪れるだろう。と思ったら、使わずにはいられなかった。
0から100歳までの人が同じ数ずつ存在したとして、単純に考えて、自分より年齢の低い人がこの世の過半数を占めるのは私が51歳(合ってるのか?)になった後、からであるわけだ。仮定が酷く現実に即さないので、正しくないし、途轍もなく下らない計算だけれども。その数字は、良いよ、常体使いなよ、と私に言ってきたんですよ。だって、まだまだ来ない、51歳。
織り交ぜ織り交ぜやっていきます。
自分も書く時、常体と敬体をよく織り交ぜて書くので、「わかる、わかる!」と心の中で相槌をしながら読んでました。楽しく書く文章ほど楽しいものはない。それは読み手に、殊の外伝わったりする。
あら、私って来年高校生じゃないですか?JのKってことじゃないですか。JのKって、華やかで輝いていて友情に恋に勉強に頑張り、青春を育むぞっ、というやつですよね、確か。
あと数ヶ月でそんな高度なことができるようになる自信がないのですがこれは…
あっやはりそう思いますか、そうですか。— 諭吉佳作/men (@kasaku_men) 2018年9月16日
私が以前好きだった系統のお洋服が載っていた雑誌が、紙ではなくなって、デジタルに移行して。それからも暫くは読んだのだけれど、デジタルの急激な不便を感じた時、そのお洋服の系統自体に冷めてしまいました。
でも最近、そのお洋服たちを眺めた時、また「着たい」と思った。吃驚しました。— 諭吉佳作/men (@kasaku_men) 2018年5月30日
Twitterの文章も好き。
「諭吉佳作/men」の名前の由来は?
諭吉佳作/menというインパクトの強い気になる名前。本名ではないらしい。「ピカチュウ」が大量発生するなど、このご時世、どんな性や名もあり得るけど、諭吉佳作は本名とは違った様子。
謎の「/」が入るし、でも発語はしないし、「諭吉佳作」って、本名の何処にも掛かっていないし、そもそも私は男たちでも男でもないわけで。何より長くて、若干恥ずかしい。
ちなみに由来というのは、浅ーいものでよろしければ、無いことも無い、と言う程度。あるはあるでも、それも何とも言い難い謎の由来というか、元ネタというか。
ブログではこう述べていて、一応は由来はあるそう。
母親の名前が諭(吉)佳(作)さんで、その漢字の変換の過程で、「諭吉佳作」を使っていたとのこと。
元々は、本名で活動をしていたが「やっぱりペンネームを使おう」と決め、響きも気に入っていたので「諭吉佳作」を使った。
それだけでは物足りないので、「ブランド感」を足すために「/men」を追加したとのこと。
ある動画で既に答えていたのですが、若干のプライバシーの問題があったので、本人に由来の掲載許可を頂いた上で追記しました。
ないですからね、 諭吉佳作 という言葉はないですよ、ないです。
ただ、もう昔から聞いてきて、口にしてきて、そういうワードがあるかのような気分になってしまっています。諭吉家にはあるんだよなあその言語。— 諭吉佳作/men (@kasaku_men) 2018年8月22日
むすびに
もう一度『水槽のガラスだけだよ』
15歳、静岡のSSW『諭吉佳作/men』 一度聴けば、かなり耳に残る音楽。
本当は、歌詞のことにも言及したかったのだけど、ボリュームがそれなりになったので、このへんでおいとま。(ここに追記するか、別記事になるか、はたまた。) 曲のタイトルにも触れたい。曲名も歌詞もいいんですよ。
もうすっかり人気アーティストの仲間入りした『崎山蒼志』も16歳で、静岡。どうなってるんですか静岡の中高生は。化け物揃いですか。おもし蟹ですか。するがモンキーですか。ホラーですか、サイレントヒルですか。静岡ですかそうですか。
崎山君、おおたりおさん、諭吉佳作/menさん、鈴さんとか、みんなあまりに凄すぎて、たぶん、この4人この前やってたドラマみたくタイムリープして最後の平成の年を、何十年もずっと繰り返してるんじゃないかと密かに思ってる。なんか仲良しだし、たぶんそう!! pic.twitter.com/xFCI6mpsLG
— 黒縁めがね (@kurobutimegame9) 2018年6月17日
現代のプリクラにびっくり致しました、自分の顔がこんなにも変わるなんて…、これが「盛れてる」というやつでしょうか、あはははは(???)
お二人には感謝感謝でありました https://t.co/Ck8a7ui8yQ
— 崎山蒼志 (@soushiclub) 2018年8月21日
「おおたりお」も、「諭吉佳作/men」も、「崎山蒼志」も仲良し、らしい。わおわお。
カメラのシャッターが降りる瞬間、真ん中に唐突に割り込み「誰これ?」という表情と共に、一緒に撮られたい。
巨大な才能、楽しそうに取り組む姿勢。個性あふれる音楽性。個人的に好きな彼女の文章。そのうち爆発する気がする。あるいは既に爆発が始まってて、気づくのは時間の問題なのかもしれない。諭吉佳作/menは、傑作を生む。
諭吉佳作/menが傑作 名は佳作で入選、傑作
『純生活』から順ぐり再生して、8曲が終わり、SoundCloudの仕様で別のアーティストに飛ぶも、「おっとっと」とまた『純生活』に戻って、を繰り返して何日も経った
‘水槽のガラスだけだよ’ by諭吉佳作/men #SoundCloud #np https://t.co/3ukOppFXR7
— ひとと✏︎音楽 本 書が好き (@zakkibaran) 2018年9月9日
『諭吉佳作/men』のsoundlocoudはこちらから。
ではまた。
<文・編集 = hitoto(@tonariniwa)