ぶっ飛んだ強烈な「愛」を歌うことで有名(?)なRADWIMPSの野田洋次郎。
「RADはラブソングがラブソングすぎてラブラブしてて無理」
とそんなことを言うラブソングが苦手な人にちょっと聴いてみてほしい曲をピックアップ。野田洋次郎はラブソングだけの男じゃないんですよ。
もしラブソングが原因で毛嫌いしている人がいれば、これで少しでも緩和されることを願います。
もくじ
愛を歌わない曲達
シュプレヒコール
「当たり前を当たり前と思わず、周囲に同調せずに自分が思うことは何か」。
情報過多な世の中で、ごちゃごちゃたくさん意見の波がありますが、「自分自身が思う事」がぶれないようにしておきたいところ。
記号として
イントロの計算高い噛み合い方がとても面白い。リズムは一貫してどっどっどっど。
「受動的な人生で生きると、個性が死ぬぞ。埋もれちまうぞ」といったメッセージ。
ひとっこひっとり殺さずに 誰とも肩ぶつからずに
いじめずいじめられずに 車にはねられぬように
病、火事、事故、地震 紙一重でかわしながら
騙されぬほどに優しく 嫌味にならぬほどに賢く
生きなさいとさ はい、そうかい
記号として 曲中より
「はい、そうかい」という言葉が悲壮感を強めていて良い。
DARMA GRAND PRIX
だるまぐらんぷり。リズムが面白い曲。「縮こまって何もしてない・出来ない人」に対する意見のような歌詞が良い。
ギターのカッティングがめちゃくちゃ格好いいので要注目。
さぁ 今日はどちらでいこう 全部世界のせいにして
被害者ヘブンで管巻くか 加害者思想で謝罪大会誰が何をどうしたって どんなんなってんでどうなろうが
んでどれだけ気になるような その素振りを振りまいても
あなたがする全ては そのあなたのその欲望の
そのどれかを満たすためだけにあるなんてさ
DARMA GRAND PRIX 曲中より
こうしてみると指示語多いな。けどもそこはさすが野田洋次郎、文字で見て違和感ありでも、聴くとありゃ不思議。なんの違和感もないくらい上手いこと音に乗っています。
余談ですが、漫画「BLEACH」作者がTwitterで昔こんな事を言っていました。
才能も無く、努力もせず、そのくせ与えられるものに不平を言って、努力する人間の足しか引っ張れないような奴は、目を瞑ってどっか隅っこに挟まって、口だけ開いて雨と埃だけ食って辛うじて生きてろ。
久保帯人(BLEACH作者)のTwitterより
これに(少し)通じるものを「DARMA GRAND PRIX」から感じていました。
ちなみに久保帯人はこのツイートで、中々に炎上しました。
ハイパーベンチレーション
ザ・RADWIMPSといった曲。イントロから文句なしに格好いい。歌詞のメッセージ性は強くない(音感だけで歌詞に意味がないものが多い)ですが、リズムと語感が本当に心地よい。
携帯電話のシングルから、この曲が流れた時に「買ってよかった」と思いました。
実況中継
神視点と仏様視点から(天の上)から人間を見るという、テーマこそ重かれど、コミカルな楽曲。
いよいよ始まりました 引っ張りました おまたせ致しました
騙し騙しで 改めまして 自己紹介からはじめさせていただきます
まず解説です お迎えするのはそう神様です
御年、今年2011歳 一切合切のこの世界を作り上げた大先輩
してやったり顔の万々歳 ご苦労様です ご馳走様です 実況は私仏様です
実況中継より
演出や演奏を含め、これはライブで出来ないだろう曲だと思ってたんですが、普通に再現してて笑いました。
億万笑者
伴奏が全体的になかなか複雑で、イントロなどが半拍ずつずれたりしてます。一見すると簡単なようで、実は冒頭から難易度が高い。楽器をしてる人ならすぐ気づくと思います。その噛み合いが独特のリズムを産んでいてかっこいい。
歌詞は少年心をくすぐる歌詞。
明日に希望を持った者だけに 絶望があるんだ
何かを信じた者だけに 裏切りはあるんだ
勇者だけに与えられた 名誉の負傷とでも言うのか
それにしてはずいぶんと 割に合わないな
堪りませんね。
この曲はアルバムでは後半なのですが、「絶体延命」ライブツアーのときに一曲目に使われる事が多くあったので、すごくオープニング感が強いです。
学芸会
学芸会で少年Dという役で学芸会を破壊する曲。後半にかけて少年Dが暴れていく様が良き。
この世界では僕は少年D 名前も待たない少年D
台詞はひとつ「おやすみなさい」そう僕がいなくても始まる舞台の端っこに立った少年D
誰一人彼など見ちゃいない でも僕にとってVIP
そう僕がいないと始まんないんだよ 僕がいなくても始まる世界
でも僕がいないと始まんないんだよ 僕の世界は
アウトロの終わり方も最高にかっこいい。
おしゃかしゃま
人生観が語られる哲学的な曲で、「偶然生き延びている」がテーマに見受けます。タイトル通り歌詞には、「神様」などの歌詞が多々登場。人の存在に対して問う歌詞がとても良いです。
人はいつだって全て好き勝手 なんとかって言った連鎖の
上に立ったって なおもてっぺんが あるんでって言い張んだよならば どうすればいい? どこに向かえばいい
いてもいなくなっても いけないのならば どこに
おしゃかしゃま 曲中より
この曲は普段RADWIMPSを聴かない層からも評価されていて、勝手に嬉しい。
むすびに
ラブソング以外から、野田洋次郎氏の人生観が少しでも覗けたでしょうか。彼の感性はとても面白く、人気の理由はラブソングだけにあらずなわけです。
実を言うと、自分自身がこてこてのラブソングに苦手意識を持つ人間です。ストレートすぎたり、愚直なラブソングは苦手。”Love forever”とかそういった言葉を使う歌詞がとても苦手。
それでもRADWIMPSの曲が聴けたのは、その愛を表現する歌詞が「度外視レベル」であったからです。
仮にRADWIMPSの歌詞が、「私らズッ友」「大好きすきすき」みたいな描写だったら、聴けてなかったかもしれません。そういったものの遥か先を描写した歌詞で、「行き過ぎてるから好き」となりました。野田洋次郎の書く歌詞はやりすぎです。行き過ぎ愛情表現。けど、そこがいい。
それに加えて、「楽曲のバラエティの豊かさ」「演奏の上手さ」「面白さ」から、彼らにはまり、青春時代を過ごしました。聴いていくうちに、RADWIMPSのラブソング以外にも見られる曲の面白さや、野田洋次郎氏の人生観を共有したく、これを書きました。
「RADWIMPSは、愛を歌いすぎてるから苦手だ」と感じている方がいれば、少しでも印象が変われば幸いです。野田洋次郎ほどぶっとんだ愛を唄う人なかなかいませんよ。頭おかしいですよ。
それではまた。